この記事で寄り添うお悩み
- 子供がストレスを感じるのはどんなとき?
- 家庭内別居が子供に与える影響を知りたい
- 家庭内別居後に離婚した場合、親権ってどうなるの?
「子供のために離婚はしたくない…」と考える夫婦は多いです。
しかしそれは、本当に子供のためになっているでしょうか?
大人である自分たちよりも、片親になる子供が可哀想だと考えるのは自然でしょう。
しかし、不幸な様子をした両親をみている方が、子供にとっては大きなストレスになる場合が多いのです。
そこでこの記事では、子供がストレスを感じる場面や家庭内別居が子供に与える影響、家庭内別居後に離婚した場合の親権まで踏み込んで解説していきます。
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家庭内別居中に子供がストレスを感じる場面
子供は大人が思っている以上に、両親の雰囲気を敏感に察知しています。
自分にとっては「パートナーと会話をしたくない」ときの自然な行動も、子供にとっては大きな負担となってしまうものです。
例えば下記のような行動は子供が大きなストレスを抱えるので、避けるようにしましょう。
それぞれについて解説します。
両親が喧嘩をしたり嫌味を言い合う
二人の人間が一緒に生きていれば、意見の食い違いがあるのは当然です。
ただし、そもそも相手に寄り添おうとしていないだけの喧嘩や嫌味の言い合いをしているのと、仲の良い夫婦がたまに喧嘩をするのとでは違います。
子供は敏感に二人の雰囲気を察知するため、建設的な議論なのか、夫婦がお互いに嫌っているだけなのかは理解できてしまうのです。
喧嘩をしても穏やかに解決できるなら、家族の在り方として子供も納得してくれるでしょう。
しかし、あまりに建設的でない対立が多すぎると、居心地が悪いと感じてしまいます。
子供にとって家が帰りたくない場所にならないよう、せめて子供の前だけでも良い夫婦を演じるのが良いでしょう。
家族揃っても笑顔がない
家族揃ってご飯を食べるのは素敵なことですが、揃ったところで気まずい雰囲気になるなら子供にとっては居心地が悪いでしょう。
明らかにお母さんがお父さんに気を遣っていたり、お父さんの機嫌を損ねないように会話をしたり、お母さんからの会話が自分にしか向いていなかったり…不自然な食卓は、かえって子供に気を遣わせてしまいます。
家族揃っているときくらいは、仮面夫婦を演じるつもりで家庭内別居を始める覚悟が必要です。
両親の伝言係をさせられる
ついやってしまうのが、パートナーへの伝言に子供を使ってしまうことです。
パートナーと話したくないからこそ、子供に仲介役をお願いをしてしまいそうになります。
「お父さんに言っておいて」
「お母さんに渡しておいて」
仲の良い家庭でもよくある会話のように聞こえますが、子供は夫婦の険悪なムードを感じ取っているものです。
子は親のかすがいとは言いますが、かすがい役をさせてしまっては子供の負担になってしまいます。
大人だって、嫌いあっている友達の仲介役を頼まれたら気を遣いますよね。
親の悪口を聞かされる
親にとって、パートナーの悪口を言える相手は子供だけかもしれません。
しかし、子供にとってそれは関係のない話です。
「お父さんって本当に気が利かないよね」
「お母さんは本当に片付けが雑なんだよ」
子供からすれば、「ならなんで離婚しないの?」「自分がいるせいで離婚できないの?」「それを聞かされてどうすれば良いの?」と思ってしまうものです。
小さなグチや嫌味、ぼやきでも、子供にとっては負担になります。
大人でも、自分の好きな人のことを悪く言う愚痴を聞くのはつらいですよね。
ただし、「お母さんは絶対に我慢してるな」「お父さんは絶対に腹が立ってるな」とわかるのに愚痴を言わないのを見ている子供も、不満を抱えてしまうものです。
夫婦が険悪だと気づいた子供は、その時点からストレスを感じ始めるということを理解しておきましょう。
家庭内別居が子供に与える5つの影響
子供にとって家族は見えているものすべてとも言えるため、それだけ与える影響は大きいです。
夫婦仲が悪い家庭に育った子供は、大人になってもその悪影響を引きずって生きることになります。
むしろ、子供の頃に受けた悪影響が表面上に出てくるのは、大人になってからでしょう。
家庭内別居が子供に与える具体的な影響は下記のとおりです。
結婚への抵抗感
両親がいつも喧嘩をしていれば、いずれ自分が結婚をしたときにも喧嘩ばかりの関係になってしまうかもしれないと恐怖心さえ抱いてしまうものなのです。
成長過程で見たものは、子供の潜在意識として残ってしまいます。
潜在意識になるということは、頭で理屈を理解していても、心が思い込んでしまうということ。
結婚をすれば幸せになれるというわけではない、と心に刻み込まれているため、結婚をすると不幸になると考えてしまう原因になるのです。
子供にとって両親は、一番身近な人生の例になります。
夫婦仲が悪い環境で育った子供は、歪んだ家族の作り方しか学べません。
- 私もお母さんのように夫の嫌味ばかり言うようになるかも
- 俺もお父さんみたいに妻を怒鳴りつける日がくるかも
- 自分が子供を持っても幸せな家庭を築く方法がわからない
結婚をすることで、自分の嫌いな部分を見つけてしまうのを怖がる人もいます。
自己肯定感の欠落
子供は溝がある両親の様子を見て、自分のせいなのかもしれないと感じてしまうものです。
自分がいなければ両親はこうならなかったのかもしれない、と思って育った子供は、自己肯定感が低くなります。
自己肯定感とは本来、周りの人からの温かい笑顔から育まれるもの。家族でいるとき、そこに笑顔はありますか?
「お父さんにやってもらって」
「お母さんに頼んで」
親が家庭内別居をしているからという理由で、関係のない子供を我慢させてしまうべきではありません。
子供は親からの愛を感じるために甘えるものです。
お父さんとお母さん、それぞれと一緒にいたいときがあるものでしょう。
本来であれば両親仲良く笑いあい、その間にいたいと思うのが子供なのです。
二人からの愛が条件付きだと感じながら育った子供の自己肯定感が下がってしまうのは、当然のことと言えるでしょう。
人間不信
はじめは愛し合っていた二人でも、いずれ心の距離が離れてしまう。
そういう考え方が植え付けられてしまうことで、人を信じられなくなってしまうものです。
「お父さんとお母さんはどうして一緒にいないの?」
「二人はどうして仲良くご飯を食べないの?」
家庭内別居を続けていれば、子供はいずれ疑問に感じることでしょう。
子供によっては、素直に口に出して聞いてくることもあれば、居心地の悪い状態のまま口を閉ざしてしまう子もいるはずです。
家庭内別居をするなら、二人が一緒に行動をしない理由や、他の家族とは違う理由を、子供が納得できるように説明してあげなくては、人を疑うクセをつけてしまうでしょう。
攻撃的あるいは内向的
穏やかに話し合いをして問題を解決する姿を見ずに育った子供は、上手なコミュニケーションの取り方を学ばないまま大人になります。
怒鳴り合い意見を一方的に押し付けてしまう姿を見て育った子供は、自分も気持ちを爆発させたり、攻撃的になってしまうのです。
反対に、怒られるのが嫌で無口に育つ可能性も。
ただし、親のいないところでストレスを発散するため、友達へ攻撃的になってしまっている可能性もあります。
体調をこわす
子供がストレスを感じると、体調に変化が現れることがあります。
- 熱が出る
- 頭が痛くなる
- アレルギーが出る
- じんましんを発症する
- お腹をこわす
- おもらしをする
家庭内別居を始めてから子供にこのような症状が出始めたら、ストレスがかかっていると自覚しましょう。
いくら気を遣っているつもりでも、子供は両親の小さな変化にも反応してしまい、気付かぬうちにストレスをため込んでしまうものです。
子供を連れて家族で出かける機会が減るのも、子供にとっては悲しいこと。
家庭内別居を始めるなら、子供のために健全な家庭を装う覚悟をしてください。
家庭内別居後に離婚!子供の親権はどうなる?
家庭内別居で険悪なムードに苦しむなら、離婚をしてしまった方が子供にとっても良いケースはあります。
ただし、夫婦どちらも子供を育てたいと考えている場合、親権はどうなるでしょうか?
相手の不倫がきっかけで離婚を考え始めた場合でも、子供の親権を譲らないと断固拒否をしているなら、親権を簡単に譲ってもらうことはできないかもしれません。
離婚調停まで進み裁判官に判断をしてもらうことになります。
子供が0〜3歳なら、母側に真剣が譲られることが多いですが、養育能力がないと判断されたら難しいもの。
つまり子供の親権は、あなたの気持ちだけではどうにもならない場合もあるのです。
子供にとって家庭内別居をするのは本当に正しい?
子供のいない夫婦なら、家庭内別居を試すことで再スタートを切るというのも良いでしょう。
しかし子供がいるならば、家庭内別居が子供に与える影響を最優先に検討することをおすすめします。
自分たちの関係性が子供の将来を大きく変えてしまうかもしれませんし、その可能性を今の段階から自覚することが必要なのです。
その上で、家庭内別居を進めるのか、家庭内別居以外で子供のためになる方法を模索するのかを、考えていきましょう。
子供がいる場合は、家庭内別居のハードルが格段に上がるのです。
子供のことを考えたらどうしていいか分からなくなったという方は、当オフィスまでご連絡ください。
以上です。
行政書士松浦智昌
行政書士松浦総合法務オフィス